東西に細長い土地が並ぶ分譲地に計画したこの建物は、土地の持つ特性をフルに活かすことに重点を置いてプランの検討を進めた。
この土地の特性とは、建物の一方の長手方向が全て真北に面しているため2階北側部分が高度斜線の影響をフルに受けてしまうこと。
ただしそれはもう一方の長手方向が全て真南に面しているということでもあり、南側の日照は隣地の高度斜線によって守られている。
そこで南側の広い空を取り組むべく2階LDKを屋根なりの勾配天井として高窓を目一杯連続させた。
高窓からの光は直接取り込むのではなく一度天井に反射させ、屈折した光がLDK全体に降り注ぐようデザインすることで直射光ではない柔らかい拡散光を得た。
北側の低い部分を利用した階段を上がれば南側の高窓へ視線が誘導される。低い方から高い方へ、「だんだん広がる開放感」を得ることを目指した。
インテリアはカリン材の重厚な床に框扉を使用した造作家具や建具を組み合わせ、シンプルで洗練されたクラシックな雰囲気を目指した。
カーテンや家具はもちろん、引出しの取手一つからモールディングの形状・組合せ、造作ソファやベンチのクッションの硬さに至るまで
一切の妥協をすることなくトータルコーディネートをすることで、統一感のある、休みの日に家に閉じこもりたくなるような、そんな空間となった。