「広さ」という言葉は平面的な大きさだけを意味するのではない。
天井の高さやその空間からの眺め、素材の連続性から感じる感覚的な部分も含まれる。
計画をするにあたり面積以上の広さを感じることが出来るよう、天井高の操作に加えて床の段差や勾配天井を設けて空間がもつスケール感に変化を与えた。
さらに南側歩道からの視線を遮りつつ採光・通風を確保するための中庭を内部空間のような曖昧な関係とし、そこが閉鎖的になり過ぎないよう開きたい部分を切り取ってさらにその先への抜けを作ることで最大限の「広さ」を体感出来るよう現地状況を踏まえた上で検討した。
家という「閉じた境界」の中から見渡せる「開いた境界」、可視領域を広げることで感覚的な「広さ」を得ることが出来るのではないかということを意識しながらこの建物を計画した。